みなさんこんにちは。
薬剤師歴20年+心不全療養指導士(今年度取得しました(^^))のたまさんです。
今回は、抗うつ薬として新しく承認された薬ザズベイについてお伝えします。塩野義製薬の製品で一般名をズラノロンといいます。
米国では一足前から、産後うつの治療薬として使われています。ザズベイ(ズラノロン)は、女性ホルモンのプロゲステロンに似せて作った神経ステロイドです。
今までの抗うつ薬とは違った作用からうつ状態を改善させるので、治療の幅が拡がると考えられています。
どういう作用なの?
GABAという脳内の主要な抑制性の神経伝達物質がありますが、ザズベイは、GABA-Aの働きを高めます。従来からあるベンゾジアゼピン系の薬剤もGABA-Aの働きを高めますが、作用する場所が異なり、ベンゾジアゼピン系は瞬間的に抑制系に働くのに対し、ズラノロンは持続的に抑制系に働きます。
どういう状態に使うのか?飲み方は?
適応は、うつ病やうつ状態です。
特に急性期に今つらい状態を早く楽にしたい時に使う薬です。3日程度で効果が出るようです。再発再燃予防を目的とした使用は致しません。
1日1回夕食後にズラノロン30mg1錠ずつ14日継続し、治療完結し、効果判定できます。他の抗うつ薬の併用はできません。14日間服用後、持続的に効果が続きます。このため、再開する場合は、6週間の間隔をあける必要があります。
この薬が画期的と言われる所は?
従来の抗うつ薬であるSSRIやSNRIはセロトニンの働きをあげて気分を改善しますが、セロトニン増強に対し脳が一旦ブレーキをかけるため効果が出るまでに数週間かかってしまいます。ブレーキ解除薬のNASSAも比較的時間がかかります。効果が発現するまでにセロトニンによる吐き気や頭痛などの副作用が先行することも多々あり、患者様にとっては大変苦しい期間となります。
その問題がザズベイは解消されること、数日で分かりやすく効果が出ることは、患者様にとって大きな希望となります。
また、SSRIやSNRIは上記の理由により、服薬継続が難しくなっていました。うつ病の治療では、服薬を継続出来なければ治療につながりません。ザズベイは服薬管理の心配も解消してくれそうです。
そして、とても大きな利点が、14日間で完結するので、依存性の心配がない、という事です。患者様にとってハードルの低い治療となるのではないでしょうか。
副作用は?
もちろん医薬品なので、様々な報告はありますが、特徴的な副作用は、眠気とめまいです。
ザズベイを服用中は、車の運転をさせてはいけない事になっています。
また、妊婦さんには禁忌です。
ザズベイの経過
日本では、2025年12月に承認され、2026年3月18日に薬価収載されました。2026年春に実臨床で使用開始となります。薬価は、646.8円です。
最後に
以前、うつ病は「こころの風邪」と表現されていた事もありました。認知度をあげるために例えられたようですが、かえって安易な印象を与え、理解が到達しない結果となってしまったと思います。
うつ病は、とても辛く苦しい病です。また、完治を望む事も難しいと言われています。そして現代ではとても多くのうつ病患者がいて、社会問題となっています。そのうつ病に対し、治療の幅が拡がるという事は、社会的にも大きな希望につながると思います。

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