マンジャロの最大のリスク

健康

マンジャロという薬、とっても有名になりましたね。
マンジャロは、GLPとGLP-1を同時に刺激する受容体作動薬であり、適応は2型糖尿病の治療薬として承認されている注射薬です。
なぜ有名になったかと言うと、ご存知の通り、ダイエット効果に注目されたからです。

マンジャロとは


GLPやGLP-1受容体に働く薬です。
食欲中枢に働きかけたり、摂った食事の血糖上昇を抑えたり、消化速度を遅らせる事により満腹感が持続し、代謝促進にも働きます。
2型糖尿病に使われる薬で、週に1回自己注射します。
副作用として、食欲減退、消化器不調、体重減少が主なものです。副作用の出方には個人差がありますが、平均5〜10kgの体重減少が見られます。

この副作用を逆手に取り、ダイエットに使えると広まりました。

もちろんダイエットに利用する場合は、適応外となりますので、保健医療は使えません。自費診療による治療となります。相場は、一ヶ月25000円〜60000円くらいでしょうか。

リスクを考える


もちろん医薬品ですから、副作用は沢山報告されています。
➀消化器不調
嘔吐、下痢など起こすこともあり、特に高齢者や未成熟者では、脱水、低栄養には注意が必要になります。
②急性膵炎、胆管炎
持続する上腹部痛や嘔吐がある時は注意が必要です。
③甲状腺c細胞腫
既往歴や家族歴によっては、禁忌になります。
④その他
数多く報告があります。(どの医薬品も例外なく)

死亡例は、米国でも日本でも数例報告されていて、マンジャロとの因果関係を指摘されています。

とはいえ、米国で2022年に発売されてから数年が経ちますが、副作用リスクが大きい印象は持たないので、大変良薬かと思います。
低血糖についても、他の糖尿病薬を併用していなければ、単剤では起こしにくいので過度な心配は無用です。

最大のリスク


ダイエット効果をねらった場合、有効率高く、副作用リスク低く、問題がなさそうに思えますが、最大のリスクがあります。

それは、「使い続けなければならないこと」。

いつまで続ければよいのか?
きっと、ダイエット目的で使っている人誰もが抱く心配だと思います。

やめたらどうなるかを検証した結果が論文で出ています。↓

プラセボに切り替えた被験者は14%の体重増加が認められましたが、チルゼパタイド投与を継続した被験者は、52週間の二重盲検期間中にさらに5.5%の体重減少が認められました。 引用:National Center for Biotechnology Information Continued Treatment With Tirzepatide for Maintenance of Weight Reduction in Adults With Obesity: The SURMOUNT-4 Randomized Clinical Trial

Continued Treatment With Tirzepatide for Maintenance of Weight Reduction in Adults With Obesity: The SURMOUNT-4 Randomized Clinical Trial - PMC
Does once-weekly subcutaneous tirzepatide with diet and physical activity affect maintenance of body weight reduction in...

つまり、やめると使用前の体重の14%増加に転じてしまう、という結果がでています。
リバウンドしてしまうのです。

さらに、続けていく事を考えた時に、もうひとつ大きな心配があります。

それは、金銭面です。
自費診療のため、高額な治療費がかかります。果たして、どこまで続けて行けばよいのでしょうか…?

他にも、まだ発売から数年しか経っていないので、長期使用した場合の効果面安全面ではデータが未熟である、という懸念もあります。

最後に


発売以来、ダイエット効果という言葉がひとり歩きし、ネット上でも沢山上がっています。
ですが、安易にダイエット目的で使用するのは、勧められることではありません。

また、糖尿病の治療として必要な方にマンジャロが届かないという事態にもなっています。
薬剤師としては見過ごせない事であり、よく考えて行動していただきたい、と切に願います。

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