コラーゲンペプチドやコンドロイチンやグルコサミンが膝等の痛みに良い、という話、よく聞きますよね。
これらは、医薬品ではないため、どれほと効果的な話があったとしても、効果があるといえるレベルではないことを先に述べておきます。
それでも、栄養剤として、身体によい効果をもたらす期待はできるはず。
実際どうなのか、3つを比較しながら考えてみましょう。
どんな成分?
コラーゲンペプチドとは
元のコラーゲンは、皮膚・骨・腱・靭帯・軟骨の主要構成成分です。
コラーゲンは、分子量が大きく、消化吸水されないので、小さく分解したものが、コラーゲンペプチドです。
役割は
・線維芽細胞(靭帯・腱・滑膜下層に広く分布)の活性化
・軟骨細胞、腱細胞への刺激
・結合組織の代謝促進
など報告されています。
つまり、コラーゲンペプチドは、膝関節で働けば、膝関節の周りを固める役割があると言えます。
ただ、上記のような働きはあることがわかっていますが、炎症を鎮める効果、鎮痛効果は認められていません。
コンドロイチンとは?
高分子であり、消化吸水されにくい。水を保持する力を持ちます。軟骨や椎間板、半月板に多くあります。
役割は、
・保水性、弾力性によりクッションの役割をします。
・軟骨の代謝調整
主に、軟骨や、椎間板、半月板などで働きがあります。
抗炎症、鎮痛効果はありません。
グルコサミンとは?
軟骨基質の前駆体で、コンドロイチンなどの構成成分。小分子のため腸管吸収される。
役割は、プロテオグリカンなど軟骨細胞の合成。体内では重要な働きをします。
少しの抗炎症効果を持ちます。
鎮痛効果は持ちません。
ここまでの話では、コラーゲンペプチドが関節の周りを固めるのに対し、コンドロイチンやグルコサミンはさらに限局されている印象です。
最大の課題
それぞれ、生体内の構成成分としては重要であり、役割を示していることがわかります。
そこで、一番考えなければならない事は、「経口摂取した場合に各必要な場所へ届くのか」
という課題です。
経口摂取されたものは、胃や腸で消化吸収→各臓器へ分布→肝臓で代謝・分解→腎臓や腸から排泄
されます。
薬の作用というのは、胃や小腸で吸収されるのか、肝臓でどういう代謝をうけるのか、腎臓から排泄されるのかなどによって変わってきます。
果たして、これら3つはどうでしょうか?
残念ながら、コンドロイチン、グルコサミンに関しては、経口摂取しても、そのままの形で消化吸水され代謝されずに軟骨組織まで届く、という証拠はありません。
ところが、コラーゲンペプチドについては、消化吸収される際、大半はアミノ酸に分解されてしまいますが、一部ペプチドとして吸収されることがわかっています。
そして、サンプル規模は大きくありませんが、実際経口摂取により、筋肉増強の有意差が認められた実験がいくつか存在しています。コラーゲンペプチドは組織で働いている可能性がある、ということです。
結論
3つを比較すると
コラーゲンペプチド>コンドロイチン>グルコサミン
となります。
残念ながら、コンドロイチンとグルコサミンについては、あまりおすすめできる根拠がありません。
コラーゲンペプチドは、エビデンスとしては弱いためもちろん効果があるとは言えませんが、効果的な場合もある、とは言えるかもしれません。
また、どちらにしても、摂取をやめると働きが落ちてきてしまうので、続ける必要があることは言うまでもありません。
いずれにしても医薬品ではないので、よい感じがしたら続けて行けばよいし、そうでなければやめるのが賢明、と薬剤師的には考えています。

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