こんにちは。
薬剤師歴20年、子育て真っ只中の薬剤師たまさんです。
今回は、最近の認知症薬について、いち薬剤師として認識している情報をお話します。
従来の認知症薬
◯コリンエステラーゼ阻害薬(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン等)
作用…アセチルコリンやグルタミン酸という神経伝達物質の分解を抑制し脳内のコリン作動性神経の働きを高める。
◯NMDA受容体拮抗薬(メマンチン)
作用…過剰なグルタミン酸の興奮から神経を保護。コリンエステラーゼ阻害薬と併用することも多い。
これらは、認知症症状の軽快を期待できますが、進行を抑えることや、改善を目指す事はできません。
新しい認知症治療薬
◯抗アミロイド抗体薬(レカネマブ、ドナネマブ)
作用…脳内にたまったアミロイドβタンパクを除去し、蓄積を減らすことで進行を抑える
従来の薬は、一時的に、症状を抑えるだけの薬でしたが、アミロイドβを除去するという根本原因に働きかけ、進行を抑えてくれるお薬です。
つまり、「対症療法」から、「病態改善」を実現した所が画期的と言えます
◯対症患者
しかし、使えるタイミングに制限があり、軽度認知障害(MCI)または、軽度アルツハイマー型認知症で使用可能です。中等度以上になると使用できません。
◯主な副作用
抗アミロイド抗体薬で最も問題になるのは、脳浮腫です。
なぜ脳浮腫が起こりやすいかと言うと、無理やりアミロイド班を剥ぎ取る事による、と言われています。
多くは無症状で自然治癒しますが、まれに重症化します。
症状は、頭痛、吐き気、めまい、けいれん、意識障害、視覚障害などです。
定期的なMRI検査と微小出血の有無を確認しながら進める必要があります。
◯投与方法と効果
・レカネマブ
2.週間毎に点滴静注。長期治療が必要になります。認知症の悪化予防効果27%
・ドナネマブ
4週間ごとに点滴静注。アミロイド班が除去できれば治療終了できます。認知症の悪化を35〜40%抑えます。ただ、副作用リスクは高くなります。
◯値段
どちらも年間300万円ほどの薬価になります。ですから1割負担で30万円ほど。レカネマブは、25年11月に15%程引き下げられる予定です。高額療養費制度を利用すれば、もっとお安く受けられます。
新薬への期待
軽度認知症患者さんは、65歳以上で有病率15.5%と言われています。早期治療で、アミロイドβタンパクを蓄積させないようにしていけば、進行を防げるという可能性があるのです。もう、対処不能な病ではなくなってきているのだな、と感じますね。



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