ボルノレキサント〜最新不眠症治療薬〜

健康

こんにちは。薬剤師歴20年、子育て真っ只中のたまさんです。

本日は近年の睡眠薬について、いち薬剤師が認識している情報をお話します。

脳には抑制的に働くGABAと、興奮的に働くオレキシンが作用します。
近年使われる主な睡眠薬は次の2つの系統に分けられます。
GABA作動薬(ベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系)とオレキシン受容体拮抗薬です。

1.GABA作動薬


GABA作動薬は、GABAという抑制的に働く作用を高めることで睡眠作用を示します。

トリアゾラム、ブロチゾラム、エチゾラム、ゾルピデムなど

一昔前まで頻繁に使われていました。

この系統の薬は、年々なるべく負担の少ない薬が開発され進化はしてきましたが、効果が高い一方、副作用を心配する声も多くありました。

主に、集中力や記憶力の低下など認知機能への影響や、眠気やふらつきなどの筋弛緩作用、さらに依存性習慣性が副作用として現れます。
ですから、使い方が大変重要になり、眠れないからと追加増量するような服用は避けなければなりません。
長期連用している場合は、やめることが困難になり、結果、継続服用し続けるという事になります。
どの薬にも言える事ですが、当初は薬の問題点が浮き彫りにならず頻用されてしまう、ということが起こります。
GABA作動薬もやはり一昔前には連用されていて、現在もGABA作動薬を継続服用されている方が沢山いらっしゃいます。
できれば、次に話しますが、近年の睡眠薬オレキシン受容体拮抗薬に切り替えていけることが好ましいと言えます。

2.オレキシン受容体拮抗薬


オレキシンという脳の興奮を高める成分の働きを抑える事で睡眠作用を示します。頭が冴えて眠れない、考え事をしてしまう場合にはよい効果がでます。

スポレキセント(ベルソムラ)
レンボレキセント(デェビゴ)
タリドレキセント(クーヒビック)
そして一番新しい薬
ボルノレキサント(ボルズィ)

興奮系を抑える事で睡眠効果を表すので、より自然な睡眠を導きます。
また、副作用は少なく、依存性、認知機能低下の心配はほぼしなくて良いと言われています。

ですが、やはり副作用はあります。
主なものに、頭痛、めまい傾眠、悪夢、金縛りです。少し説明します。

1.副作用 悪夢・金縛り


依存性がほぼなく、安全性の高い睡眠薬ではありますが、なんと、悪夢や金縛り(1〜2%)という副作用があります。
これは、自然な眠りを誘う薬のため、レム睡眠の回数が増えるため、より夢が残りやすかったり金縛りのような状態になると考えられています。

2.副作用 傾眠・ふらつきについて


特にデェビゴで多く現れます。これは中途覚醒にも対応できる薬であるため、半減期が長く、朝に薬が残りやすいためです。

3.副作用 頭痛について


明確な事はわかってません。脳内の興奮性と抑制性のバランスが変わることが原因と考えられています。

4.最新薬ボルノレキサント(ボルズイ)


上記のような副作用について、すべて改良され、効果はきっちり維持されている新薬がボルズィです。

副作用の起こりやすさは、
ボルズイ・クーヒビック≦ベルソムラ≦デエビゴ
と考えられています。

3.最後に

近年は、特に高齢者に対して、GABA作動薬は第一選択薬として選ばれるべきではないと考えられています。
認知機能に影響なく、依存性の心配がないオレキシン受容体拮抗薬なら、少し頼りにしてもよいのかもしれませんね。

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