デパス(エチゾラム)は本当に安全?歴史を追って昔と現代の認識の違いを説明します。

健康

デパス(成分エチゾラム)※以下デパスは、ベンゾジアゼピン系薬剤ですが、最も有名で広く使われてきた抗不安薬ではないでしょうか。

今回は、なぜ多くの人に使われてきたのかをお話しながら、現在はどのように使われているのか、をお話したいと思います。

※以下に記載する事は、一般的な話であり、個々の状態によっては当てはまりません。医師の指示に従って服用する事が何より大切です。

デパスの歴史

開発〜発売


デパスは、日本で開発された薬です。
当時の田辺製薬(現在の田辺三菱製薬)が、1971年から前臨床試験を開始し、1983年に承認を取得し、1984年に商品名デパスとして発売が開始されました。

従来からあったリーゼ(クロチアゼパム)を改良する目的で開発され、

・より強い抗不安作用
・より良い睡眠作用
・筋弛緩作用

を期待されました。

発売当初は、

・不安
・不眠症
・心身症
・頚椎症
・緊張型頭痛
・肩こり

に適応をもつ薬でした。

黄金時代


1980年〜2010年ころまで、デパスの黄金期といえます。

実際、デパスはとてもよく効きました。

抗不安作用、睡眠作用、筋弛緩作用のバランスがよく、効き目も早く現れ効果を実感しやすい薬でした。

精神科で扱うお薬は概ね、「向精神薬」という分類に指定されます。

ところが、デパスは向精神薬の指定をうけず、普通薬として発売されていました。

このため、精神科だけではなく、内科や、整形外科でも幅広く使われ、「国内で最も繁用されている抗不安薬」となったわけです。

安全な印象


デパスが開発される以前は、不安感などに対して使われる薬は主にバルビツール系薬剤(フェノバルビタールなど)でした。
これらの薬は、

・呼吸抑制
・過量投与で死亡
・重篤な中毒

が問題でした。
それに比べるとデパスなどのベンゾジアゼピン系薬剤は圧倒的に安全な薬と考えられました。

当時は、上記のような急性毒性はリスクとして認識されていましたが、依存性についてはあまりリスクとして注視されず過小評価されていました。

そんな中、デパスはとてもよく効く副作用があまり見られない薬、として認識されていきました。

「向精神薬」は薬理作用だけではなく、依存性、乱用性、社会的問題なども考慮されて指定されます。

デパスは、安全な薬という印象が先行し、「向精神薬」の指定を受けないまま、長く販売されてきました。それが、より多くの人に気軽に使われてしまった原因となりました。

問題が見えてきた時代


長年多くの人に使われる中で、問題が見えてきました。

・やめられない患者
・離脱症状に苦しむ患者
・高齢者の認知機能への影響
・転倒リスク

これらの問題は、ベンゾジアゼピン系薬剤全般に言える事です。

さらにデパスは、

・効き目が早く効果を実感しやすい
・安全な薬の印象から、頼りにされやすい
・精神科症状以外でも広く使われていた

という、依存を生じやすい特徴を併せ持っていたため、より多くの問題を抱える事になったのかもしれません。

「向精神薬」指定


2016年、ようやく、「向精神薬」として指定されました。
「普通薬」であった時代は、制限なく広く長期でたっぷり処方される事が可能な薬でしたが、「向精神薬」となり、専門医によって制限のある中慎重に使われるべき薬、となったわけです。

今の認識


現在は、デパスのようなベンゾジアゼピン系薬剤について
「短期使用が原則」
となっています。

・強い不安感
・急性ストレス
・一時的な不眠など

には有用であると考えられています。

ただ、慢性的な不安感や不眠などには第一選択薬とはならないと言う考えが主流になってきています。

デパスなどベンゾジアゼピン系薬剤の具体的な問題

依存性


基本的にベンゾジアゼピン系薬剤の短期作用型薬剤は依存性が生じやすい、という事になります。
例えば、一般的に、不安時頓服で使われる薬は即効性があるので、依存性が高い薬と言えます。
これは、実感が得やすいためです。

・不安が軽くなる
・緊張が和らぐ
・眠れる

という実感が、

・ないと不安
・ないと眠れない
・やめられない

という状態になりやすくなります。

離脱症状


ベンゾジアゼピン系薬剤全般に言えますが、
長期間服用から急に中止すると、

・不安
・不眠
・動悸
・手の震え

などの症状が出る事があります。

重症では、

・幻覚
・せん妄
・けいれん

が起こる事があります。

また、反跳現象と言って、一時的に薬を服用する前の状態より、ひどく症状が出る事もあります。
例えば、不眠の状態が以前よりひどくなる、などです。

長期服用、依存状態になると、これらの事を乗り越えないとやめることができません。

ですから、ベンゾジアゼピン系薬剤の中止を目指すなら、専門医の指導のもと少しずつ段階を経て進めていく必要があります。自己判断による調節中止は危険です。

認知機能への懸念


高齢者では、

・注意力低下
・記憶力低下
・日中の眠気

が問題になる事があります。

認知症そのものを引き起こすかどうかは議論の中ですが、高齢者の認知機能への懸念はされています。

最後に

上記のような問題は、ベンゾジアゼピン系薬剤全般に言える事であり、デパスも例外ではありません。一時は安全な薬として認識されましたが、依存性を祓む注意が必要な薬です。
自己判断による服用は避けるべきであり、必ず医師の指導のもと、服用する必要があります。

現在では、デパス他ベンゾジアゼピン系薬剤は、
「急性的な症状に対して短期使用で」とても有用な薬として活躍しています。

どの薬にもリスクとベネフィットがあります。しっかり使い分けて、より適切な治療へと繋げて行くべきだと思います。

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